イジワル御曹司様に今宵も愛でられています

 葛城さんとも相談し、私は仕事のない日曜日の教室に入れてもらうことになった。


 道具と花材は全て教室で用意してあると言われたので、お稽古の終わった花を持ち帰る花袋だけを事前に用意して、開始時刻よりも前に教室に向かう。


「あら、藤沢さん。いらっしゃい」

「先生、今日からよろしくお願いします」

 私を担当してくださる葛城綾子先生――葛城さんのお母さまがちょうど教室に入るところだった。

「お手伝いを申し出てくれるなんて助かるわ」

「いえ、これも勉強ですから」

 先日葛城先生に初めて会った時に、お稽古前の準備のお手伝いを申し出たのだ。

「それじゃまず、道具を人数分揃えてくださる?」

「かしこまりました!」

 少し深さのある鉢型の花器に花を固定するための剣山、花ばさみの三点をそれぞれ机に並べていく。


 先生の指示通り花の始末やテキストの用意などをしているうちに、あっという間にお稽古の時間になった。

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