イジワル御曹司様に今宵も愛でられています

「それでははじめます」

「本日はよろしくお願いします」


 私がいれてもらったのは、いけばなのいの字も知らない初心者クラス。

 生徒の大半は女性だけど、ちらほら男性の姿もある。

 私と同年代くらいのOLさんぽい人や、学生さん、定年後の趣味としていけばなを嗜みたいという男性まで年齢は様々だ。

 こんなに幅広い年代の人が一緒に習い事をするなんていけばなならではかもしれない。


 初心者クラスの初回ということで、いきなり花はいけず、まずは座学から。

 はじめにいけばなや香月流の歴史をざっと習い、次にいけばなの基本である『型』について教えてもらった。

 『型』というのはいわばいけばなの設計図。

 先人たちが試行錯誤を繰り返し、誰でも花を美しくいけられるよう計算されたもので、流派によって違うらしい。

 てっきり人それぞれのセンスでいけるのかと思っていたら、ちゃんとベースがあるのだ。

 美的センスにはあまり自信がなかったので、入門書を読んでこのことを知った時は正直言ってホッとした。

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