イジワル御曹司様に今宵も愛でられています

「じゃあ運命の人に出会ったら、その人の前でも王子様キャラを貫くんですか?」

「そんなわけないじゃん。ありのままの俺を好きになってもらわないと」

 そんなこと言って、いけばな王子として出会って、どのタイミングで本性を出すつもりなんだろう。


「相手の方にいけばなの心得がなかったら?」

「そこは、がんばって習得してくれるでしょう。……愛があれば」

 そう言って、不敵な笑みを浮かべる。


 智明さん、そこまで言い切るってことは、まさか……。

「ひょっとして智明さん、すでにそういう方がいらっしゃるんですか?」

「さあ、どうだろうね」

 おそるおそる訊く私を面白がるみたいに、そう簡単には教えてあげないよとでも言いたげに、智明さんは意地悪く微笑んだ。

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