イジワル御曹司様に今宵も愛でられています
「葛城、契約書を」

「かしこまりました」

 葛城さんは封筒の中から契約書を取り出してテーブルに置くと、私の手にペンを握らせた。朱肉まできちんと用意してある。


「藤沢様、ご署名と捺印を」

「結月ちゃん、早く」

「わ、わかりました!」


 二人が見つめる中、震える手でペンを握る。鞄の中に入れていた印鑑を取り出し、その横に判を押す。

 おそるおそる顔を上げると、目を細め、王子様のように優雅な笑みを浮かべる羽根木さんがいた。


「これで今日から君は俺らの仲間だ。よろしく、結月ちゃん」

 そう言って、羽根木さんは右手を差し出す。

「よろしく、お願いします……」

 急展開に頭が追い付かない私は、反射的に彼の手を握り返していた。

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