イジワル御曹司様に今宵も愛でられています
「とりあえず毎日の送迎を何とかしてほしい……」
「えっ、あれまだ続いてるの?」
「うん」
送迎の件も、その日のうちに恵理にメッセージで報告していた。
すぐに既読がついて、『さすが香月流の御曹司。こっちの想像を軽く越えてくる』って速攻で返事が来た。
「その後王子とは話せてないの?」
「それが、想像以上に忙しい人で」
香月流を背負って立つ彼の仕事は、お弟子さんへの指導をはじめ、クライアントに依頼されての装花、テレビ等のメディア出演に講演会、執筆活動と多岐に渡る。
移動も分刻みで、食事を取ることもままならない日もある。
送迎のことも、父とのことも訊きそびれたまま、あっという間に一週間が過ぎてしまった。