イジワル御曹司様に今宵も愛でられています

「それにしても、ホント藤沢は俺を操縦するのがうまいよね。アシスタントに来てもらって良かった。俺の目に狂いはなかったわ」

 ポンポンと、子どもにするように軽く頭に触れ、羽根木さんは行ってしまった。

 途端にカーッと顔が、耳までも熱くなっていくのがわかる。


 何今の、反則だ。羽根木さんの方がよっぽど私の気分を上げるの上手だよ……。

「っダメダメ、調子に乗らない!」

 小声でそう呟いて、ぶんぶんと頭を振る。

 ちゃんと気を引き締めなくちゃ。私には勉強しなきゃいけないことがまだまだたくさんある。


 乱れた髪の毛を整えるふりをして気持ちを落ち着けていると、ふっと一人の女性スタッフの姿が目に入った。

 胸のところで両手を組み、じっと私を睨み付けているように見える。


 あっ、ひょっとして。松原さんが言ってたのってこれか……、とピンと来た。

 下手に私が反応して、羽根木さんについてあることないこと言い触らされても困る。


 どうしよう……、そうだ!

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