イジワル御曹司様に今宵も愛でられています

 実は先日、松原さんからこっそりゲストリストを見せてもらったから知っている。

 招待客は私みたいな一般人でも名前を知ってるようなセレブだらけだし、芸能人のゲスト目当てに大勢の報道陣まで詰めかけるようなパーティーだ。

 そんなところに投げ込まれたら、庶民の私なんてきっと緊張のあまり気を失ってしまう。


「アシスタントは裏で待機、じゃないんですか?」

「いいえ、今回は私も出席いたします」

 涙目で見上げる私に、葛城さんは無情にも首を振る。

「これは、お家元のご命令ですので」

 また羽根木さんの指示? それなら葛城さんは絶対に引かない、引くわけない。

 そのことは、送迎の件で嫌というほど思い知った。


「わかりました……。お待たせしてすみません、よろしくお願いします」

 すっかり諦めた私は、ハラハラとした表情で見守っていたサロンスタッフの方々に頭を下げ、おとなしく彼らに従った。

< 67 / 178 >

この作品をシェア

pagetop