イジワル御曹司様に今宵も愛でられています
なんとか着付けも間に合い、私同様和服に着替えた葛城さんと一緒にパーティー会場に駆け込んだのは開始時刻の三十分前。
立ち並ぶ報道陣や豪華なゲストを一目見ようと列をなす人々を避けてショップの中に入ると、パーティー開始直前、大勢の人々に囲まれる羽根木さんの姿があった。
今日の羽根木さんは、背縫いの中央と外袖に家紋の入った江戸鼠の着物に茶色の無地袴をパリッと着こなしている。
爽やかな中に色気も感じられ、いつもにも増してかっこいい。
そして彼の周りを取り囲む人の中には、人気モデルや若手女優の姿も多い。羽根木さんってやっぱりもてるんだなぁ……。
受付をしている葛城さんの傍らで、群がる女性陣をにこやかにかわす羽根木さんをぼんやりと見ていたら、急に目が合った。私の全身にさっと目を走らせて、満足そうな笑みを浮かべる。
周囲の人に断りを入れて、私の方に近づいてきた。