イジワル御曹司様に今宵も愛でられています

「こんな高価なものいただけません」

「そう高くもないよ」

「嘘ですよ!」

 こんな豪華なお着物、帯まで入れたら絶対に三桁は下らないはず。

「それなら今すぐここで脱いでくれる? 返品するのに汚されたらたまらないし」

「はぁ!?」

 なんてこと言うんだこの人は!

 絶句する私を見て、羽根木さんはまた意地の悪い笑みを浮かべる。


 皆さん騙されてますよ! この人の王子様キャラは作り物ですよ!!

 今すぐここで叫んでやりたいくらいだ。


「俺のアシスタントやってたら、これから先着物着る機会は多いよ。持っていて損はない。それとも毎回自分でレンタルでもする?」

 そんなこと、いくらなんでも無理に決まってるじゃないですか。

 とうとう黙り込んだ私を、羽根木さんは満足そうに見下ろした。

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