イジワル御曹司様に今宵も愛でられています

「どうした藤沢、気分でも悪い?」

 思わずお腹の辺りを押さえていたら、羽根木さんが心配そうな顔で覗き込んだ。

「ちょっと帯が苦しくて。でも大丈夫です、じき慣れます」

「本当に?」

 心配そうに眉をひそめている。


「羽根木くん、藤沢さん!」

 そうしていると、受付を終えた葛城さんと松原さんが連れ立ってやってきた。

「わぁ藤沢さん、お着物姿すっごく素敵!」

「ありがとうございます。松原さんこそ今日はまた一段とお綺麗です」


 今日の松原さんはさりげなく身体のラインが出るノースリーブのサブレドレスに、8センチくらいありそうな光沢のあるピンヒールのパンプス。

 いつもはストレートの髪を緩く巻いてハーフアップにしていて、匂いたつような美しさだ。

 アテンドする側でもピンヒールでいられるのは、普段から履き慣れてるからなんだろうな。

 いかにも大人のできる女性という感じで、やっぱり憧れる。

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