イジワル御曹司様に今宵も愛でられています

「さ、そろそろパーティーが始まるわ。羽根木くんは代表から紹介があるのでステージ前でスタンバイしておいてくれる?」

「了解。藤沢無理はしないで。葛城、悪いけど藤沢のこと気をつけといてあげて。あんまり体調良くないみたい」

「私ならもう大丈夫ですよ」

 羽根木さんに安心してほしくて、痛みを堪えて笑顔を作る。

「羽根木くんごめん、時間が」

 松原さんが呼んだスタッフに案内され、名残り惜しそうにこちらを一度だけ振り返ると、羽根木さんはステージの方へ行ってしまった。


 ブランドのエグゼクティブらと会話する姿は、傍から見ても頼もしく、若いながらも香月流という一大流派を背負っている貫録を感じさせる。

 さっきまで私と軽口を叩いてたのが嘘みたい。


 羽根木さんが、遠いなぁ……。

 またお腹がきゅうと痛んだ。

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