イジワル御曹司様に今宵も愛でられています
「結月の就職がダメになったって知って、居てもたってもいられなかった。ピンチに陥った結月を、どうしても俺が救いたかったんだ。だから結月が渋るのも構わずに、俺のアシスタントにした」
「それは、どうして?」と訊こうとしてやめた。
智明さんの答えは決まってる。私を助けることで、父への恩を返すためだ。
「遠回りかもしれないけど、でも私、この経験は無駄にならないって思うんです」
「え?」
私がそんなことを考えながら働いているとは思ってもみなかったらしい。智明さんは、目を見開いた。
「お花のことはもちろん、智明さんが動きやすいように考えてサポートすること、今日みたいに華やかな場に出て経験を積むことも、きっといつか役に立つと思ってます」
「……そんなふうに思っててくれたんだ」
智明さんがふっと肩の力を抜くのがわかった。
私が知らない間に、そんなに気にしてくれていたんだ。