イジワル御曹司様に今宵も愛でられています
「これでも私、智明さんには感謝してるんですよ。確かに最初はちょっと強引だったからびっくりしちゃったけど。今は少しでも智明さんの役に立ちたいって思ってます」
だからお願い、そんなふうに気に病まないで。智明さんらしく、堂々としていて。
私の想いは通じたらしい。智明さんは「ありがとう」と言うと、唇を軽く噛んだ。
ひょっとして、照れてるのかな。
「でも結月、これだけは忘れないで。俺はずっと結月の夢を応援してる。結月の夢が叶うなら、俺はいつでも君のことを解放するよ」
「……ありがとうございます」
「ん。危ないから、部屋の前まで送るな」
ロックを外し、智明さんは先に車の外に出てしまう。
締めっぱなしだったシートベルトを緩慢な動作で外した。
私に取ってウェディングプランナーになるという夢は絶対だった。
それなのに、どうしちゃったんだろう。
私は今、夢が叶って智明さんの元を離れる日なんて、一生来なければいいのになんて思ってる。