my sweet love〜third〜
まだ話さないといけないことがある
そう思って優しく柚を離した
「柚ちゃん
もう少しだけ伝えたいことがあるんだ
あと少し話をしてもいいかな」
「っ…はい」
「僕ももちろん龍くんも。
休学をするという選択肢も考えたんだ
だけどね。柚ちゃんが行ってる大学では
復学は2年以内と決まっているんだ
最後の希望として
その一つを残しておいてもいい。
でもね今まで何年も待ち続けた移植が
そう簡単に見つかるとは言えない
でももし、2年以内に見つかって
手術ができた時君は戻れるんだ。
その最後の希望まで取ったりはしない。
その選択は君に任せようと思う」
「2年…か……
私も正直…厳しいと思う
でも…心のどこかでもしかしたらって
思ってる自分もいるな…」
「今すぐに答えを出すべきことじゃない
これからゆっくり考えるといいよ。
少し体調が落ち着くまで
暫くは退院も出来ないからね
何かあれば話をみんなにして
気持ちをスッキリさせなさい
龍くんは柚ちゃんのこと
真剣に自分のことのように考えてくれる
もちろんご両親も友人も私も。」
「先生…ありがとう」
「昔から君を診てきて
こんな決断をさせる前に
治してあげられなくてごめんね」
そんな言葉に静かに首を振った柚
そんな柚を見て
少し充血させた目で
矢野先生はまた来るねと去って行った