my sweet love〜third〜



戻らなきゃ…



重い腰を上げて
点滴台に体を預けてどうにか進む…



「ちょっ!おい!」



聞こえた声と感じたふらつきはほぼ同時




気付いた時には
廊下に響く点滴台の倒れた音と
背中から支えられた感覚だけ



「ばかっ!危ないだろ
ゆっくり呼吸して」



少しずつ崩れる体を支えてくれる智の手は
暖かくてわたしの呼吸を
安定させようとしてくれる




でももう自分の意思では落ち着かない



完全に発作が始まって
咳が止まらない







「ストレッチャー持ってきて!
柚大丈夫だからね」



苦しさの中ストレッチャーに乗せられて
気がつくと見慣れた顔と
見慣れた機械に囲まれていた







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