my sweet love〜third〜


「おう。次はどこ行く?」


「さっき私たち見せてもらったから
龍たち見たいところに行こう」


「うんうん!そうして」


「サンキューな」


そんな会話をして龍に手を引かれ
歩き始めて直ぐ…

身に覚えのある
心臓の変な動きを感じた


あれ…?

一瞬で治って
特に気にすることなく3歩4歩と歩き進めると
思わず声が出そうなほどの痛みが
心臓を中心に全身に響いた


やばい…発作だ


そう思った時には
もう龍と繋いだ手に力が入り
反対の手は胸元にいった


「柚…え、発作か?
座ろう。少し戻れるか」


支えられながらも1歩が限界で
膝から崩れ落ちた

「柚っ!」
「龍どうした?発作か?」



「ああ。発作みたいだ
柚?薬直ぐ出すからね
大丈夫大丈夫。」


「っ…ぅっ…」

久しぶりの発作に頭がついていかない


どんどん前かがみになって
視界にはもう床しかない


「柚。口に手入れるよ
薬このまま舌下に入れてて
辛いけど大丈夫だからね
直ぐに薬効くから」


「覇瑠。柚の荷物お願い」


「うん。」



「荘、覇瑠ごめん
少し落ち着いたらベンチに移動するから
荷物頼んでいいか」


「もちろん
柚。焦らなくて良いからな
少しずつ良くなるから」





薬を口に含んでも
痛みは良くなるどころか強くなる一方

手にも力が入る


「柚薬効いてないかな
もう一個口入れるよ
大丈夫だからね」


噛み締めていた唇を触れられ
少し空いた隙間に薬を入れられた




それからどのくらいか分からないけど
体感では30分ほどして
ようやく少し落ち着いてきた



「柚少し移動しよう
体俺に預けてていいから」


少し持ち上げられると
直ぐにさっきのベンチに下された



「大丈夫ですか?」


「あ、すみませんお騒がせしてます
連れが医者なので大丈夫です
ありがとうございます」


「そうでしたか
何か手配等ありましたら
直ぐにお声掛けください」


警備員さんと荘の声を聞きながら
だんだん落ち着いてきた体で
息を整えることに集中した







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