my sweet love〜third〜



トントン

肩を叩かれ振り返ると智がいた


「大丈夫か」
そう言って差し出されたタオルで
自分が泣いてることに気づいた


「仕事は?」


「今日は午前まで
長引いたけどな
矢野先生から龍が落ち込んでるから
話聞きに行ってあげてって
柚んとこ居なかったから驚いたよ
落ち込んだらいつもここだもんな」


「柚さ…大学辞めようって
矢野先生と話するってなってさ

俺、一番近くにいて
柚の努力も苦しさも何もかも
見てきたはずなのに
何にもできなかった…
悔しいし情けないよ

ご両親にもなんで伝えたらいいか…」


「龍が居たから
柚はここまで頑張れたんじゃないか?
それは柚のお母さんもお父さんも
分かってくれてるはずだろ?
あんなに理解のある2人なんだから」



「やっぱり俺の考えは
甘かったのかな…」


「俺が龍でも同じ選択をしたよ
大切な人の夢は応援したい
それがたとえ難しいことでも
未来に向かって一緒に頑張りたい

龍はその分支えてるし
柚に対して尽くしてるよ

病気に関してだけは
俺たちの力だけじゃどうにも出来ないのが
医者としては虚しいけどな…」






< 62 / 230 >

この作品をシェア

pagetop