独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
「とりあえず、外に行く前にこれを」
「え……?」
彼はジャケットを脱いで、私の肩にかけてくれた。
「一人でここまで来るのは大変だったでしょう? あのスタジオからここまで少し距離があるから」
「……はい。スタジオのこと、ご存知なんですね」
「僕もたまに利用しますから」
「そうなんですか」
彼にかけてもらったジャケットの温もりを感じて、胸が急に騒ぎ出す。
そして彼のつけているであろうオードトワレがほのかに香る。
邪魔にならない程度の心地いい香りにドキドキしてしまう。
「じゃあ、行こうか」
「え? どこに……」
手を引かれたまま、私はビルのエントランスから外へと連れ出された。