独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます

「失礼しまーす……」

 遠慮がちに部屋を覗くと、スタンドの電気だけがついていて、私の予想通り机に突っ伏して眠っている智也さんがいた。

「智也さん、智也さん」

 こんなところで寝ていたら風邪をひきますよ、と声をかけて体を揺さぶっても全然起きる気配がない。

 いつも朝早くから夜遅くまで働いているから疲れているのだろう。
 どれだけ揺さぶっても起きそうにない。

 でもこのまま放置しておくわけにもいかず、もう一度声をかけた。

「智也さん、起きてください」
「ん……?」
「一緒にベッドに行きましょう?」

 そう言った瞬間、智也さんは目を開いてこちらを見てきた。


 寝ぼけ眼の智也さんは、いつもと違う人みたいに目が座っている。

「風邪ひきますよ。……ね? ベッドに……っ、きゃ!?」

 突然立ち上がった智也さんは私のことをぎゅっと抱き締めてきた。

「詩織」
「はい」
「詩織、詩織……」
「はい……。智也さん……?」

 何度も名前を呼ばれて、どんどん胸の鼓動が早くなる。全身が熱くなってきて体中が騒ぎだしてきた。

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