独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
「詩織、たくさん作ってくれてありがとう。アイツらも喜ぶと思うよ」
「お口に合えばいいんですけど……」
「大丈夫だよ」
よく頑張ったな、と智也さんに頭を撫でられて、私ははにかんで照れ隠しするように俯いた。
こう言ってもらいたくて頑張ったんだ。
智也さんに喜んでほしくて、その一心で頑張れた。褒めてもらえたので、胸が熱くなって嬉しさがこみ上げてくる。
「詩織」
「ん……?」
名前を呼ばれたので顔を上げると、ちゅっと唇にキスをされた。少し触れ合うだけの口づけ。
唇が離れると、なんだか名残惜しくてたまらない。
最近、私おかしいみたい。
それだけじゃ満足できなくて、もっとして欲しいって思ってしまう。
何度もキスしたいし、もっと長く触れ合っていたいとも思う。
どんどん欲張りになっていく気がするの。
……どうして?
でもそんなこと恥ずかしくて言えないから、キスが終わったあと何も言わずに智也さんを見つめてしまう。