独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
料理のことで落ち込んでいたはずなのに、智也さんが美味しいって言ってくれたから、それでいいかと思えるようになった。
食事がある程度ひと段落したところで、山口さんが立ちあがってテーブルの上を片付けておつまみや軽食を並べ、グラスを新しいものに変えていく。
「あ、ありがとうございます。私がやりますので、どうぞ座っていてください」
「いえいえ。こちらこそたくさん準備してくださっていますので、これくらいさせてください」
ゲストにこんなことをさせるなんて。
もっと気配りするべきだったと反省して、汚れた食器をシンクに運んで、さっと流して食洗器に入れて、デザートの準備などしていると、皆はソファに移動して楽しそうに歓談していた。
そして智也さんの隣には山口さん。優雅な仕草で社長の飲み物をついでいる。
山口さん、綺麗で料理も上手で、気が利いて素敵な人なんだな。
さすが秘書っていうだけあって、智也さんのことをすごくよく分かっているみたい。
智也さんが次に何を欲しているかすぐに察知できるみたいで、何も言われなくても求められていることが分かるんだろうな。
そんな息の合った二人のやりとりを見ていると、すごいなと感心するのと同時に、私も智也さんとあんなふうになれたらいいなぁと思った。