独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
「もちろんだよ。私、お父さんの娘でよかった。今まで本当にありがとう」
涙を零す高橋さんの肩に手を回すお父さんを見て、これで本当に仲直りができたのだと思って胸が熱くなった。
しばしの親子の時間を過ごしてもらってから、本番へと望む。
スタンバイしているゲストや新郎が待っているので、メイクさんが新婦の濡れた頬をハンカチで拭い、崩れてしまった化粧を整える。
扉の前に立つ二人の前に立って、私は話し始めた。
「高橋さん。今日の予定にはなかったんですけど、せっかくなので二人でヴァージンロードを歩いてみませんか?」
「え……?」
「一生に一度の挙式ですから、お父さまと大切な時間を過ごしてください」
「佐々木さん、本当に何から何までありがとうございます」
幸せそうに微笑む高橋さん。喜んでもらえてよかった。
結婚行進曲が流れ、緊張が一気に高まる。
……いよいよ始まる。