独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
絶対に成功させようと気合を入れて、私は定位置にスタンバイした。
チャペルの扉が開く。
高橋さんの選んだ会場は、キリスト教の大聖堂をイメージした本格的なチャペル。
赤い絨毯が敷かれたヴァージンロードをまっすぐ進むと、祭壇があり、その上にはステンドグラスが美しく輝いている。
父の腕に手を回した高橋さんが、一歩一歩噛み締めるように歩き出した。
参列している人たちは、涙ながらに歩く新婦の姿を見て、大きな拍手を送っている。
スタッフ用の立ち位置について、式の進行を見守りながら、私はいろいろな思いを巡らせていた。
ヴァージンロードを歩く新婦。
ずっと反対していたけれど、娘の幸せを願い結婚を許した父。
そして祭壇の前に立っている新郎――
高橋さんを優しい眼差しで見つめる新郎を見て、本当に彼女のことを大切に想っていることが伝わってくる。
彼の目にも涙が浮かび、今まで彼女を育ててきてくれた父への感謝に満ち溢れている。