独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
「分かった。詩織からの提案は一旦受け止めておくけど、俺は詩織と離婚したくない」
俺は詩織が好きだ。出会ったときからいいなと思っていたけど、結婚して一緒に住むようになってより好きになった。
これからもっと同じ時間を過ごして、俺のことを好きになってもらおうと思っているのに、今ここで別れてしまうなんて絶対に嫌だ。
「もしどうしても離婚したいというなら、理由を話してくれ。ちゃんと話し合ってお互いに納得したなら要求に応じる」
「…………」
そんなに暗い顔をしないでくれ。
黙ってしまった詩織を見て、自分の感情を彼女に押し付けて苦しめているような気がして少し弱気になる。
「とにかく腹も減ったし、一緒に食事しに行こう。この話は抜きにして、美味しいものを食べよう」
「……でも」
「いいから」
お腹がすいていたら、元気だってなくなる。
今は初めて詩織の担当したお客さまの結婚式を無事に終えたお祝いをしよう。
俺たちのことは、それからでいい。
浮かない顔をしている詩織を車に乗せ、俺は行きつけのレストランへとさらった。