独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
何度もするうち、唇が離れそうになったとき、遠慮がちではあったけれど俺の唇を追ってもう一度重ねてくれたときもあった。
そんな小さな積み重ねで、少しずつ距離を縮めてこられたのだと思っていたのに――。
突然言い渡された別れの言葉。
何度思いだしても、その言葉が胸に突き刺さる。
「つら……」
「え?」
山口と一緒にいるというのに、心の声が漏れてしまった。慌てて咳払いをして誤魔化す。
「何でもない。ちょっと一人にしてくれ」
「かしこまりました」
目の前の仕事に集中して、詩織のことを考えないようにするけれど、ふとした瞬間に、別れを切り出されたときのことを思い出して「わーっ」と爆発する。
俺ってこんなキャラだったか?
そもそもいつも恋愛中であっても、女性に振り回されることなどなかったし、どちらかというと俺が優位に立っていることが多かった。