独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
「詩織も気が付いているだろうけど、うちのサロンは赤字経営で、倒産寸前なの。このままでは一年持たないと思う」
「最初は順調だった。当時は本格派な結婚式っていうのがブームで衣装やら式場やらお金をかけていることがステータスだったし」
「そうそう。それからアタシと晴樹の人気もあって、Valerieのドレスも人気だった」
目まぐるしいくらい忙しくて、クライアントもいっぱいで、毎日あっという間に一日が過ぎる感じだった。
最初は違う場所でアトリエをしていたけれど、事業が波に乗ったところで自宅を改装させてほしいと父にお願いした二人。
郊外でそこそこの土地の広さだった自宅を改装すれば、もっと大きなアトリエにできる。父を説得した二人はこの場所にアトリエ兼自宅を作った。
「けど、最近じゃオートクチュールのドレスなんてオワコンだっていう奴らもいる。それでなくても今はドレスが全然売れない。既製品を扱っているメーカーだって苦しい状況だ」
「そうだね。どこも苦戦しているって聞くもんね」
「このままじゃ本当にヤバいって思った矢先、PWから連絡がきたの」
PWもとい、Platinum Weddingとは。
ここ二年前くらいから急成長した大手ブライダル会社。
リーズナブルな結婚式、というブームの火付け役で、飛ぶ鳥を落とす勢いで業績を上げている。