独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます

 確かに携帯電話の電波が圏外のときはValerieのサロンに転送がかかるように設定してあるけれども!

 そんな運の悪いことってある?

 じゃあなんで教えてくれなかったの? と責めたところ、二人は意地悪そうな笑みを浮かべた。

「兄としては、悪い虫がつかないようにしないといけないだろ?」
「ま、アタシは個人的にタイプだったから邪魔しようと……」
「お前な」
「えへへ」

 直樹、えへへじゃないから!

 直樹と晴樹の話を要約すると、智也さんはずっと前から私のことを想ってくれていた……みたい。
 私と接点を持とうとしてくれるたびに、兄たちが邪魔をしていた。それでも諦めずコンタクトを取ろうとしてくれていた。

「さすがにもう諦めるかなと思ったけど、アイツは諦めなかった。俺たちに挨拶をしに来て、何度も頭を下げるんだ」
「アタシたちも認めるしかないよね。こんなに詩織のことを真剣に考えてくれるんだから」

 Valerieが経営難に陥っていることを知り、傘下に入らないかと誘ってくれたのは、私たち藤崎家のことを思ってのこと。当初、見返りはなしでいいと言ってくれていそう。

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