独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
山口さんからそう言われて「分かりました」と即答してしまった。
商談などしたこともないし、契約の話だってちゃんとしたことのない私がどこまで対応できるか分からないけれど、大事な取引先の社長のお相手を断れない。
ここでうまくやれば、認めてもらえる。頑張らないと。
深呼吸をして気合を入れる。
「……失礼いたします」
廊下に跪き、ゆっくりと襖を開く。
そして一礼してから顔を上げると、すでに男性がテーブルの前に座っている姿が目に入った。
その男性の背後の奥の部屋に布団が並んでいるのが見えて、これがどういう状況が理解し、背筋に冷たい汗が流れていくのを感じた。