独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
「そんなに完璧になろうなんて思わなくていいよ。俺だって完璧じゃないし、お互いに補いながら二人でやっていけばいいんだから」
智也さんは、私一人だけ頑張るんじゃない、二人で助け合って生きていく。それが理想の夫婦だと教えてくれた。
「ありがとうございます」
そう言ってもらえて心が軽くなる。これからは二人で頑張っていけばいいんだと思うと頑張れる気がする。
「はぁ……本当によかった。このまま離婚することになったらと思ったら、気が気でなかった」
「私も。自分から言い出したのに、すごく嫌で悲しかった。こうして気持ちを伝えられてよかったです」
私たちは顔を見合わせて、微笑みあう。
またこうして一緒に微笑みあえることに嬉しくなる。
そしてどちらともなく目を閉じて唇を重ねた。
智也さん、好き。
この溢れてくる好きという感情を大切にしたい。
こんなに好きな人と一緒にいられることを感謝しよう。
「ところで……詩織はいつまで俺に敬語なのかな?」
「え?」
「年上の俺のことを敬ってくれているんだとは思うけど、いつまでも敬語だと距離が縮まらないよ」
そう言われてみれば、出会ってからずっと智也さんには敬語だ。でも今更タメ口でと言われても緊張してしまう。
「ねぇ、普通に話してみて?」