独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます

 ああ、もうその顔ズルい。智也さんのねだるような甘い表情を見ると胸が高鳴って逆らえなくなる。

「でも……恥ずかしい……です」
「だーめ。ちゃんと夫婦になるんでしょ?」
「あう」

 頭を撫でられて、そのままおでこにキスをされる。その柔らかな感触にときめく。

「好きだよ、詩織」

 腰が砕けてしまいそうなほど甘い愛の言葉。そう言われると熱に浮かされたみたいにふわふわしてしまう。

「俺のこと好き?」
「……好き。智也さんのこと好きだよ」

 あなたのことが好きで好きで仕方ない。
 全身から感情が溢れて、言葉にしないと抱えきれなくなりそうなど好きって思いが奥から湧き出てくる。

「じゃあ、智也って呼べるよね?」
「もう」
「ね、詩織」
「……智也、好き」

 好きな人と結婚できているだけでも幸せなことだけど、もっと気持ちを重ね合わせたい。同じ熱量で好きだと感じていたい。

 そして求められることに応えたい。智也が望むこと、全部に。


< 272 / 284 >

この作品をシェア

pagetop