独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
尊敬する兄たちだから、ずっとこうして傍にいた。
なんの取柄もない私をValerieの一員にしてくれたことを感謝している。
これからは私が兄たちにお返しする番だ。
「待って」
歩き出した二人を呼び止め、私もソファから立ち上がった。
「私、結婚する」
「え……?」
「Platinum Weddingの社長と結婚して、満足してもらえるような完璧な妻になってみせる」
「詩織……!」
やるからには全力でやろう。直樹と晴樹がいつもしているみたいに。私にだって何かできるはずだもの。
「いいのか、本当に? 無理ならいいんだぞ」
「ううん、大丈夫。私たち三人でValerieだもん。私も力になりたい」
「詩織、ありがとう……!」
直樹と晴樹に抱き締められ、私は結婚を決意した。
藤崎詩織二十五歳。顔も知らない男性と結婚します――。