独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
「わぁ~、お姫さまだぁ」
「こら、指差しちゃだめ」
振り向くと小さい女の子が私に向かって指をさして、嬉しそうに見つめている。その隣のお母さんは、バツが悪そうに私から視線を逸らした。
絶対訳アリだと思っているよね。そうだよね。昼間からこんな格好でこんな場所にいるなんて変だもんね。
ここが西洋の物語に出てくるお城の中だったら……こんな格好をしていても不自然じゃなかったのに。
信号が青に変わったので、再び走り出す。忙しそうに歩くサラリーマンの間を抜けて、とあるオフィスビルの前に立った。
このオフィスビルの六階には取引のある貸衣装のお店が入っている。
そこのオーナーさんはとても親切な方なので、きっと今の状況を話せば何か力になってくれるのではないかと思ったので立ち寄ってみた。
「え……嘘でしょ」