独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
「あの……!?」
「ん? どうしたの?」
どんどん佐々木さんの顔が近づいてくる。
「待ってください、あの、その……!」
掴まれていない方の手で彼の胸を押してもビクともしない。所詮女子の力では男性に勝てないのだと思い知る。
「詩織。疲れて帰って来た旦那に、キスしてくれよ」
旦那、キス、詩織と憧れのワードが散りばめられて、私はそれだけでクラクラして金縛りにあったみたいに動けなくなる。
「どうしたの……? まさか初めてじゃないだろ?」
「う……」
「まさか」
「その……まさかです」
えっ!! と大きな声で叫んだ佐々木さんは、私の手首をぎゅっと握って離してくれなくなってしまった。