独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
「そんなことないですよ」
「じゃあ、俺を見て」
目と目が合って、じっと見つめ合う。
全身が沸騰したみたいに熱くなって汗ばんできた。寝室のルームライトが間接照明で薄暗くてよかった。きっと赤くなっている顔を見られていないだろう。
「メイクしていないと、こんな顔になるんだな」
「……あまり見ないでください。恥ずかしいです」
「詩織のこういうところ見られて嬉しい。とっても可愛いよ」
うわぁぁんっ。そんなこと言わないで。逃げ出したいくらい恥ずかしい。
お世辞で言ってくれているってわかっているのに、ちょっと喜んでしまう自分が悔しい。
この恥ずかしさに耐えられなくなってしまって、私はついに顔を両手でおさえた。
「なんで隠すの?」
「すっぴんをじっくり見られたら困ります」
「なんで? 隠さなくていいだろ」
「あ、やだ、ちょ……っ」