独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
顔を隠す手をどけようと、智也さんが私の手首を掴む。ふたりで揉み合っているとバランスを崩してしまい、私の体はベッドの上に倒れてしまった。
「あ……」
目の前には智也さんの顔。
仰向けに倒れてしまった私の上に被さるような格好になった智也さんは、じっと熱い視線を送り続ける。
胸の鼓動が全身に響くほど大きな音で鳴り続ける。
ベッドの上で、こんな体勢って……ああ、もう恥ずかしすぎる!
「智也さん……あの」
もうそろそろどいてくれないかな、とお願いしようとした瞬間、彼の顔が近づいて唇が重なった。
あまりにも早くて、気が付いたときいはキスが終わっていた。
「おやすみなさいのキス。これから毎日するように」
「え……?」
「全然慣れていないようだから、一緒に練習していこうな」
「れ……っ」
練習ーっっ!?
と、声を上げそうになったけれど、ぐっと堪える。
「いい妻になってくれよ、詩織」
「…………ハイ」
はい、としか返答のしようがなかった。目をぱちくりとさせながら、目の前の笑顔の旦那さまを見つめた。