独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます
「着きましたよ、どうぞ」
「どうも……」
彼はエレベーターを降りるときも、手を差し伸べてくれてエスコートしくれた。
わぁ……よく見ると、すごく素敵な人。
ずっと焦っていたから、周りをちゃんと見られていなかった。
目の前に立っていた彼は、スリーピースのスーツを着ており、こんなドレス姿の隣にいても違和感がないくらい仕立てのいいものを身に纏っている。
小物使いもすごく上手だし、洗練された大人の男性という雰囲気が出ていて思わず見とれてしまった。
今もまだ彼に手を握られていて、まるで本当の新郎新婦みたい……って、何を考えているの、私!
そんなロマンティックなことを考えている場合じゃないでしょ、と心の中で自分を叱りながら彼の方を見た。