独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます

「んん!」

 おかえりなさいのキスに、おやすみなさいのキス。それだけでなく、おはようのキスにいってらっしゃいのキス。

 何かにつけて、ちゅっちゅ、ちゅっちゅとキス三昧。

 こんなキスづくしなんて聞いてない!

「じゃあ、またあとで」

 なんでこんなことするんですか! と怒る隙もないまま、彼は爽やかな笑顔を向けて家を出ていってしまった。

「……もう、何なの……」

 触れ合った唇に手をあてて、誰もいない玄関で嘆く。

 ファーストキスをしてまだ間もないはずなのに、何度もされているうちに少しずつ慣れてきた。

 最初ほど驚かなくはなったけれど、それでもキスしたあとは胸が騒いでしばらく落ち着かない。

< 91 / 284 >

この作品をシェア

pagetop