朱莉さんの不可解な一週間
「先生もそう思う何かきっかけあった?」

「はい。ありました」

「そういうのって誰にでもあんのかなあ?」

「さぁ、どうでしょう」

優しい笑みを浮かべた先生は、すっかり(ぬる)くなったコース最後の珈琲を飲み干すと、「そろそろ出ましょうか」って言ってゆっくりと腰を上げる。


そして、あたしが酔ってる事に気付いてるのか、立ち上がるとすぐあたしの席まで来て、スッと手を差し伸べてくるから、あたしは迷わずその手に掴まった。


先生の紳士的な行動は、特別扱いされてる気分にさせる。


柄じゃないけど、姫だかお嬢だかになったような気持ちになる。


「先に出てて下さい」
< 103 / 324 >

この作品をシェア

pagetop