朱莉さんの不可解な一週間
「教えて頂けませんか?」

「な、何を!?」

「携帯の番号を」

「え!?」

「連絡先を知らないので」

「あ――ああ、うん。だよね。そうだよね」

「差し(つか)えなければ」

「な、ないない。そんなのない」

たかが携帯の番号を聞かれただけで、バカみたいにテンパッてるのは緊張の所為。


未《いま》だ頭の中がフワフワしてる感じが消えなくて、心臓のバクバクに呼吸困難に陥りそうになる。


自分じゃどうしようもない状態に、鞄から携帯を取り出すのに時間が掛かった。
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