朱莉さんの不可解な一週間
「な、何でもない。どうもしてない」

「でも――」

「何でもないって! ほら、番号」

「吉岡さん?」

「酔っただけ! 飲み過ぎたみたい!」

「……」

「本当に何にも――ッ」

言葉(なか)ばで息を呑んでしまったのは、先生の両手で頬を包まれたから。


直視出来なくて逸らしてた目を強制的に合わせられて、アルコールの力以上に頬が赤くなってるのが自分でも分かる。


至近距離であたしを見つめる先生の目はどこか寂しげで、
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