朱莉さんの不可解な一週間
先生が受け持つ数学の授業は楽しみだったけど、だからって成績がよくなる訳でもなかった。


ただそれを「初恋」だと思ったのは、男の人に対してそういう感情を抱いたのが初めてだったから。


これが初恋なんだろうなって、勝手に思っただけ。


恋を知らない時期だからこそ、恋っていうのが分からなくて、これがそうだと自分で思えば、そういうものになる年齢だった。


でも何となく、今もそんな感じが抜けない。


7年振りに会った先生は、今も変わらず異国の王子様みたいに思える。


「会社はここから遠いんですか?」

「自転車で10分くらいかな?」

「気を付けて」

「先生も」
< 13 / 324 >

この作品をシェア

pagetop