朱莉さんの不可解な一週間
さっきまで感じてた資料の重さなんて吹き飛んで、片手で資料を持ったあたしは空いた逆の手で携帯を取り出した。


自分が何をしようとしてるのか分かってるのに、その自分の行動を止められない。


やめておいた方がいいって警告を出すもう一人の自分は、誰かの為じゃなく自分の為にそう言ってる。


後悔する。


やめた方がいい。


これ以上傷付く意味はない。


そう思ってながらも取り出した携帯のアドレス帳を開いたあたしは、まだどこか期待してたのかもしれない。


こんな状況で何を期待してんのか分かんないけど、一発逆転を期待してた。


開いたアドレスの瀬能先生の電話番号を押すと、数秒後にピリリと本棚の向こう側から音が聞こえる。
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