朱莉さんの不可解な一週間
計算なのか天然なのか、心に染み渡るような言葉をサラッと口にした社長は、ギシリと音を立てて椅子から立ち上がると、徐にあたしに近付き足を止める。


そして。


「マジで振られたのか?」

さっきまでとは違う、真剣な声を出した。


「……振られてないです」

「そっか」

「騙されただけです」

「騙された?」

「別にもうどうでもいいんですけど」

「騙されたって何だ? 金か? 金持ってかれたのか?」
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