朱莉さんの不可解な一週間
くるみや一葉に話す事を躊躇(ちゅうちょ)する内容を、社長になら話す事が出来たのは、友達じゃないからかもしれない。


友達に対して持つプライドは持たなくていい。


それに社長はあたしの中ではそういうのを掛け離れた存在で、スパイ事件があった時、物凄く落ち込んだ社長を見てるから、同じように弱い部分やダメな部分を見せる事に大した抵抗はなかった。


相手が全裸ならこっちも全裸になれる。


最初の方こそ躊躇(ためら)ったけど、話していく内にその躊躇いは消え失せた。


(せき)を切ったように話すあたしの言葉に、社長は「うん」とか「ふーん」って返事しかしなかった。


――けど。
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