朱莉さんの不可解な一週間
ふざけんなって殴ってやりたいとも思ったし、バカにすんなって蹴っ飛ばしてやりたいとも思ってた。


だけどそれが出来なかったのは中途半端に大人になってしまってるからで、沢山の人が行き来する駅前でそんな格好悪い事出来なかった。


それに先生はズルい。


一見真面目そうな容姿がズルい。


色々嫌み言ってやるつもりだったのに、その無害な顔を見ていまいち言葉が出て来なかった。


あたしは惨めじゃないって虚勢張るのが精一杯で、責め立てる事が出来なかった。


お腹の底から込み上げてくる熱い何かが、喉元まで来たからあたしはすぐに踵を返した。


後1秒でもこの場で先生と対峙(たいじ)してたら、柄にもなく泣いちゃいそうで、逃げるように踵を返した。
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