朱莉さんの不可解な一週間
本人からしたらそれなりの法則に(のっと)ってるのかもしれないけど、あたしには何でもかんでも適当に置いてある気がする。


窓際の、学校の職員室にあるようなデスクの上にはパソコンもある事にはあるけど、周辺には社長を彷彿とさせるほど、いつ雪崩が起きてもおかしくないってくらいに分厚い本が積まれていて、よくもまあこんな所で仕事が出来るもんだと呆れた。


「インスタントですが」

その声に目を向けると、先生は珈琲カップを手に近くまできていて、それをあたしの目の前のテーブルの上に置くと、隣に腰を下ろす。


何で隣に座んのよ!――と言いそうになったけど、この部屋にはソファがひとつしかないから仕方ないと言葉を呑んだ。


先生は、すぐに話し出さないで自分の珈琲を一口飲む。
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