朱莉さんの不可解な一週間
「それが学校の教師を辞めた時でした。勉強を教えるというのが僕は好きなんです」

「そっか」

「そんな折、さっきも言いましたが、この予備校の経営者が知り合いで、よかったらウチで働かないかと言ってもらえたんで、そうさせてもらったんです」

「へえ」

「……吉岡さん」

「何?」

「あなたが何をどう聞いたのか察しはついています」

「察し?」

「僕が学校を辞めた時、僕に(まつ)わる色んな噂が立てられている事は知っていました」

「噂……?」

「その噂の原因も分かってるんです」
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