朱莉さんの不可解な一週間
緊張を隠す為におどけて言うと、先生は一瞬バツの悪そうな顔をして「すみません」と謝った。


「あの時はがっついてしまって……」

「がっつく?」

「はい。あなたを抱けると思うと気が焦って……」

「ああいうのが趣味なんじゃなくて?」

「違います! 絶対に違います! 本当は優しくしたいんです!」

「そっか」

「でもあの時は何と言うか……ずっと見てた人と現実にそうなった事に浮かれていて……」

「……見てた?」

「はい」

「え? 見てた?」
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