朱莉さんの不可解な一週間
って事はただの勘違いって事もある。


たまたま同じ方向で、たまたまあたしの後ろを歩いてて、たまたまあたしが足を止めると相手も止めるってだけかもしれない。


そんな「たまたま」、拾った宝くじが1等だったってくらいにあり得そうもないけど、もしかするとそういう「たまたま」もたまには起きるかもしれない。


なんて思った矢先だった。


思ったっていうよりも、恐怖心を和らげる為にそう思い込もうとした矢先だった。


ザザッって足早に近付いてくる足音が聞こえたと思った次の瞬間には、後ろから腕で首を絞められて、


「騒ぐなよ?」

耳元近くで男にそう囁かれた。
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