朱莉さんの不可解な一週間
「あたしが被害届出さなくても?」

「はい」

「じゃあ、出しません」

「いいんですか?」

「あたし、投げたり蹴ったりしたし」

「正当防衛ですよ」

「やり過ぎた感が否めません」

あたしがそう言うと、やっぱり柔らかい笑みを浮かべた刑事さんは、「分かりました」って笑って調書を書いてた紙をファイルに閉じる。


そして。


「では後は、迎えの方がいらしたら帰って下さって結構です。さっき、吉岡さんがおっしゃってた方に――」
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